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    • 2019.10.15 Tuesday
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    読書記録[2016.1]

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      2016年1月の読書メーター
      読んだ本の数:7冊
      読んだページ数:2920ページ
      ナイス数:245ナイス

      決戦!大坂城決戦!大坂城感想
      真田幸村や豊臣秀頼などの大阪の陣のキャラクターたちを豪華作家陣が描く「決戦」シリーズ第2弾。今回は有名どころを王道で描くというよりは、マイナーな人物にフォーカスを当てたり、奇をてらった内容のものが多いように感じた。「日本一の兵」はかなり斬新な切り口になるので、スタンダードな真田幸村像を期待している人にとっては期待外れかもしれない。全体的に家康が悪役のものが多いので、もう少し家康寄りの視点で描いた作品があったらよかったなと。冲方丁(豊臣秀頼)と伊藤潤(福島正守)が特によかった。
      読了日:1月31日 著者:葉室麟,冲方丁,伊東潤,天野純希,富樫倫太郎,乾緑郎,木下昌輝
      ローマ法王に米を食べさせた男  過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか?ローマ法王に米を食べさせた男 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか?感想
      「可能性の無視は最大の悪策」をモットーに過疎集落を救ったスーパー公務員がいる。マイナスをプラスに変える発想力、失敗を恐れずやってみようとする行動力、人を巻き込む求心力、何もかもがすごい!住民に反対されても、味方が少なくても、首尾一貫した姿勢を持ち続けることは並大抵のことではないはず。公務員とはいえ異色の経歴を持つ人なので、すべての人が高野さんと同じようにはいかないけれど、出る杭を打たずに支えることならできるはず。公務員かどうかに関わらず読む価値のある、本当に面白い一冊だと感じた。
      読了日:1月25日 著者:高野誠鮮
      アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)感想
      "知能"と"愛情"とは車の両輪で、どちらか一方だけを備えていればよいというものではない。手術によって知能を手に入れたチャーリーは、皮肉にもその頭脳ゆえに周りから疎まれてしまい、人間の本質に気づいてしまう。そんな周囲の状況の変化にも挫けず、やがて退行していく知能にも目を背けず、人に対する思いやりの心を忘れないチャーリーの姿にただ心を打たれた。後半は読み進めるのも辛くなってくるけれど、最後の一行のチャーリーらしい一言に救われる。不朽の名作と呼ぶに相応しい、本当に素晴らしい作品。
      読了日:1月17日 著者:ダニエル・キイス
      たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF)たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF)感想
      タイトルが印象的な言わずと知れた名作。ある問題を解決するための方法は一つしないけれど、それがどうしようもなく大きな犠牲を伴うとしたら…誕生日プレゼントにもらった宇宙船で一人宇宙に飛び出した少女・コーティーは、旅路の果てに大きな選択を迫られることになる。自分がコーティーと同じ状況に立たされたら、同じように決断できるだろうかと、読み終えてからも暫く考えてしまった。読みやすさとインパクトでは表題作が抜きんでているが、感動作のダークホースは「衝突」かもしれない。3作とも心して読むべし。
      読了日:1月16日 著者:ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア
      虚構推理 (講談社文庫)虚構推理 (講談社文庫)感想
      深夜に現われ鉄骨で人を襲う亡霊「鋼人七瀬」。事件のターゲットが得体の知れない怪物なら、その解決方法も"虚構"の論理を持って立ち向かうという斬新なミステリとなっている。奇抜な設定や個性的なキャラクターと、それに比肩する精緻な論理構成や推理劇が素晴らしく、両者をさらりと融合してしまうあたりに作者の手腕を感じる。「本格ミステリ」とするには賛否が分かれそうではあるが、個人的にはこういう挑戦的なものをどんどん創ってほしいと思う。コミックス原作だけでなく、小説方面での活躍をもっとしてほしい。
      読了日:1月11日 著者:城平京
      真田三代 下 (文春文庫)真田三代 下 (文春文庫)感想
      「表裏比興の者」昌幸とその息子信之、そして「天下一の兵」幸村。乱世を生き抜くためにそれぞれが選んだ道が異なったとしても、親兄弟が敵味方に分かれて戦うことになったとしても、真田家の誇りを守ろうとする共通した想いがある。そんな父子三人の別れのシーンには思わず涙が出そうになった。大坂の陣で父親譲りの戦法で徳川軍を苦しめた幸村はもちろんのこと、昌幸・幸村の助命を家康に懇願し真田家を存続させた信之の人生にも興味が湧いた。大河ドラマではこの兄弟がどう描かれるのか注目してみたい。
      読了日:1月5日 著者:火坂雅志
      真田三代 上 (文春文庫)真田三代 上 (文春文庫)感想
      幸隆、昌幸、幸村、三代にわたりその名を戦国史に刻んだ真田家。乱世を生き抜くための知略と決断力、弱者としての矜持など、群雄割拠の時代をどのように渡り歩いたかが良く描かれている。勝頼の代で大きく傾く武田とは対照的に、幸隆から昌幸、昌幸から幸村、親から子へと引き継がれる才気にこそ、真田家の強さがあるのだと思う。人質に出され離れて暮らしていても追ってしまうのが親の背中なのか、毛嫌いしていた父・幸隆にだんだん似ていく昌幸も面白かった。その昌幸を見て幸村がどのような人生を歩んでいくのか、下巻が楽しみ。
      読了日:1月4日 著者:火坂雅志

      読書メーター

      読書記録[2015.12]

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        2015年12月の読書メーター
        読んだ本の数:6冊
        読んだページ数:2031ページ
        ナイス数:285ナイス

        本能寺遊戯 (創元推理文庫)本能寺遊戯 (創元推理文庫)感想
        表紙に惹かれて手に取ったものの、予想外の本格的な歴史考察に大苦戦。 表題作や「大奥番外編」は時代的についていけたけれど、「女帝大作戦」は完全に流し読み…歴史と一口にいっても色々あるんだなと、自分の知識の偏狭さを痛感した。ヒメのように史実を追求するのもよし、アサのように自由に妄想するもよし、ナスチャのようにゲームやアニメから入るのもよし、歴史の楽しみ方は人それぞれだと思う。考え方の違いはあるにせよ、こんな風に歴史談義できる仲間がいるというのは羨ましいですね。
        読了日:12月26日 著者:高井忍
        ちょっと今から仕事やめてくる (メディアワークス文庫)ちょっと今から仕事やめてくる (メディアワークス文庫)感想
        さくっと読めて面白かった。こういうタイトルの本が売れるということは、それだけ多くの人が仕事で悩みを抱えながら生きているということなんだろう。仕事だから思い通りにいかないことや辛いこともあるけれど、我慢し過ぎて自分を失ってしまうのはよくない。生きることが本当に辛くなったら環境を変えてみたっていい。それは決して逃げることではなくて、新しいことへの挑戦だ。ヤマモトや隆の母親のように、悩んでいる誰かの背中を押せるような人になりたいなと思う。
        読了日:12月20日 著者:北川恵海
        孤独の価値 (幻冬舎新書)孤独の価値 (幻冬舎新書)感想
        飲み会は絶対一次会で帰るし、一人旅も平気でできる、自分もどちらかというと孤独が好きなタイプの人間なので、こういうテーマの本を読むと自分の思考が間違いじゃないんだなと安心する。孤独でいるときの「寂しさ」よりも複数人でいるときに感じる「寂しさ」のほうが辛いと思うし、自分のためにする読書や勉強は一人じゃないとできない。一人の時間と人と会う時間をうまくバランスとりながら、孤独とうまく付き合っていけるような大人になりたいと思う。
        読了日:12月20日 著者:森博嗣
        死ぬまで仕事に困らないために20代で出逢っておきたい100の言葉死ぬまで仕事に困らないために20代で出逢っておきたい100の言葉感想
        仕事、時間、勉強、友情、恋愛など、生きる上で重要な要素を10個のカテゴリに分け、仕事に"困らない"ためのエッセンスを凝縮した本。群れから離れることの大切さとか、社会人にとっての勉強の意味とか、どれも共感できるものばかり。こういうことは上司や先輩から直接教わることではないと思うし、本という媒体だからこそ心の中にスッと入ってくるのかもしれない。個人的ベストは「遠回りの蓄積こそあなたの財産」。背中を押してくれるような言葉に出会うと、自分の人生が少しだけ誇らしく思えてくる。
        読了日:12月17日 著者:千田琢哉
        きいろいゾウ (小学館文庫)きいろいゾウ (小学館文庫)感想
        スローライフな夫婦生活と子供っぽい関係に違和感を覚えつつ、読むのに少し手間取りながらもなんとか読了。独りが寂しいからと依存するような関係にはなりたくないけれど、互いを理解して欠点を埋め合わせていけるようなムコさんツマさんのような関係は、すごく素敵だと思う。何かを捨てて大切なものを手に入れるという「きいろいゾウ」の取り入れ方も巧く、単調な物語に良いアクセントになっている。西加奈子さんは初めて読んだけれど、他の作品も読んでみたくなった。
        読了日:12月15日 著者:西加奈子
        神様のカルテ 3 (小学館文庫)神様のカルテ 3 (小学館文庫)感想
        本とは不思議なもので、ときどき出会う時期が運命付けられているように感じることがある。自分は医者ではないけれど、仕事で少し悩んで一つ大きな決断をしたタイミングで、この本を開いた。医師としての覚悟が足りているのか、自分の進む道は本当に正しいのか、悩む栗原一止の姿は、そっくりそのまま自分の状況に投影される。兎角生きづらい人の世だけど、そんな中で前に進み続けることの大切さを教えてくれる素晴らしい作品。大きな決断をした一止の今後も気になるので、続編に期待!
        読了日:12月7日 著者:夏川草介

        読書メーター

        読書記録[2015.11]

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          冊数は少ないけど、その分印象に残る本が多かった。
          4冊全部捨てがたいけれど、ベストを挙げるなら「ペンギン・ハイウェイ」。
          森見さん=京都+阿呆大学生という印象が強いけど、色々な意味で裏切られた。
          感動の結末に思わず涙。

          2015年は目標の100冊は達成できなさそう。
          一冊でも多く読めるよう、12月は頑張って読む!

          ★  ★  ★

          2015年11月の読書メーター
          読んだ本の数:4冊
          読んだページ数:1501ページ
          ナイス数:203ナイス

          ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)感想
          一日一日、ぼくは世界について学んで、昨日の自分を上回る― 小学生のアオヤマ君の日常は、テーマを見つけては研究に勤しんだり、歯科医院のお姉さんとのおしゃべりをしたりと大忙し。突然町に現れたペンギン、お姉さんの不思議な能力、未知の物体<海>の登場など、さまざまな謎を仲間とともに追いかけていく中で見つけ出した真実とは?それは子どもが味わうには少し苦いブラックコーヒーのようではあるが、失意を乗り越えたアオヤマ君の決意に感動した。森見さんのユーモアと魅力が詰まった素敵な作品。
          読了日:11月29日 著者:森見登美彦
          ジャイロスコープ (新潮文庫)ジャイロスコープ (新潮文庫)感想
          「一人では無理がある」は"鉄板"の面白さ。ファンタジーとリアルを巧く調和させた世界観がすばらしい。「彗星さんたち」は新幹線の清掃員を描いたお仕事小説かと思いきや、意外な方向へ持っていかかれ最後のオチにやられる。様々な切り口(角度)ながらも安定感を持たせた7つの物語は、まさにおもちゃの"地球ゴマ"のよう。巻末のインタビューでは、伊坂さん自身も読者を楽しませるために模索しながら書いているんだなと感じた。「らしさ」を求めず、変な固定観念を持たず、今後の作品にも期待したい。
          読了日:11月28日 著者:伊坂幸太郎
          ノエル: -a story of stories- (新潮文庫)ノエル: -a story of stories- (新潮文庫)感想
          「光の箱」は Story Seller で既読だったけれど、こういう優しさを感じさせるミスリードはすごく好み。絵本作家が作った物語は少女や老人の人生に影響を与え、そして作家自身も知らず知らずのうちに影響を受けている…3つの短編をそれぞれリンクさせたエピローグも感動的。登場人物それぞれが作中の物語に救われるのと同じように、読者もまたノエルという名の祈りに救われる。生きる上でなぜ物語が必要なのか、その答えを教えてくれる素敵な本ではないでしょうか。
          読了日:11月24日 著者:道尾秀介
          剣と紅 戦国の女領主・井伊直虎 (文春文庫)剣と紅 戦国の女領主・井伊直虎 (文春文庫)感想
          井伊家と言えば徳川四天王として名高い井伊直政を真っ先にイメージするが、本作は直政の養母・直虎を主人公に描いた物語。男が主役の戦国時代に"女城主"としてあらゆる苦労を一身に背負い、井伊家を断絶の危機から守ろうとする姿は、まさに名将そのもの。主人公が悪い未来を予知する能力を持っているというファンタジックな設定も、物語として全く違和感がなく、斬新なテイストの歴史小説として仕上がっている。再来年の大河ドラマは柴崎コウ主演の「おんな城主直虎」。地元浜松が舞台ということで今から楽しみ。
          読了日:11月15日 著者:高殿円

          読書メーター

          読書記録[2015.10]

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            SFと歴史物が多めだった10月。
            天下人家康の生き様を描いた「天下家康伝」が素晴らしかった。
            ゆるキャラグランプリでも天下取れるといいね、家康くん!

            ★  ★  ★

            2015年10月の読書メーター
            読んだ本の数:7冊
            読んだページ数:2292ページ
            ナイス数:165ナイス

            伏(ふせ) 贋作・里見八犬伝 (文春文庫)伏(ふせ) 贋作・里見八犬伝 (文春文庫)感想
            オリジナルを知ってても知らなくても楽しめる、新しい解釈で描く「里見八犬伝」。人間と伏は「狩る者」と「狩られる者」の関係に過ぎず、慣れ合いも共存もあり得ない。鉄砲娘の浜路と伏の信乃も敵同士の関係だけど、戦いの最中に微かに見せる互いを気遣うようなシーンがよかった。作中に別の作品を入れこんだ構造も面白く、特に「贋作・里見八犬伝」は桜庭さんらしいテイストに仕上がっており一読の価値あり。メインの伏狩り兄弟の描写が相対的に少なく物足りなさは感じられたが、良い作品だと思う。
            読了日:10月31日 著者:桜庭一樹
            天下 家康伝 <下>天下 家康伝 <下>感想
            「天下は天下之人の天下にして、我一人の天下と思うべからず」信長、秀吉の果たし得なかった夢を成し遂げた家康の、「天下」の考え方や人間としての魅力がよく伝わってくる。どんな逆境にも挫けず、契機をじっと待ち続ける人生は、同世代の武将と比較すると決して派手ではないけれど、誰にでも見習うことができるという意味では最も庶民的な存在ではないだろうか。家康同様に苦難続きの人生を送ってきたと自らが語っているが、著者だからこそ描ける家康像だと感じられた。遺作というのが非常に残念だが、名作を遺してくれたことに感謝したい。
            読了日:10月28日 著者:火坂雅志
            天下 家康伝 <上>天下 家康伝 <上>感想
            信長のようにカリスマ性もなければ秀吉のようにクレバーさもない、徳川家康が天下人となりえたのは、苦難の連続だった幼少時代や青年時代があったからだと思う。上巻では、そんな下積み時代に経験した戦の様子や人間関係が描かれており、そのハードな人生っぷりが良く分かる。一番印象的だったのは三方ヶ原の戦いの描写。信玄の挑発に嵌った結果の敗北はあまりにも惨めだが、「領地を捨てる位なら刀を捨てる」としてまで浜松を守ろうとするところが良い。苦境を乗り越えた家康がどう成長していくのか、下巻も楽しみ。
            読了日:10月23日 著者:火坂雅志
            天の光はすべて星 (ハヤカワ文庫 SF フ 1-4)天の光はすべて星 (ハヤカワ文庫 SF フ 1-4)感想
            不慮の事故で片足を失い、宇宙飛行士としての目標を失ったマックス・アンドルーズ。57歳、宇宙の夢を諦めかけていたそのとき、木星探査計画を推し進めようとする女性議員との出会いが、彼の人生を大きく変えることとなる。とはいえ、挫折を乗り越えてめでたく宇宙へ〜というような単純なストーリーではないのがポイント。大切な人との別れや幾多の試練の中で、自分に何ができるのか、どう生きるべきなのか、方向転換しながらも答えを見つけていく姿がカッコいい。SFという枠を超え、夢を忘れないこととの大切さを教えてくれる秀作。
            読了日:10月15日 著者:フレドリック・ブラウン
            時間はどこで生まれるのか (集英社新書)時間はどこで生まれるのか (集英社新書)感想
            量子論や相対論が一般の人にとって難解なのは、「時間」の考え方が従来の考え方(古典物理学)とは大きく異なり、直感的な理解が難しいところにあると思う。そもそも時間の定義とは何なのか?エントロピーとは?ミクロな世界に時間が実在しないのなら、それは一体どこで生まれるのか?こうした一つ一つの疑問に対して論理を飛躍させず丁寧に書かれた解説は、他のどんな本よりも分かり易い。機材も数式も使用しない「思考実験」の面白さと、普段の生活では感じ得ない「時間の多様さ」を堪能できる一冊。
            読了日:10月12日 著者:橋元淳一郎
            ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで (ハヤカワ文庫NF)ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで (ハヤカワ文庫NF)感想
            唯一つの公式 (E = mc^2) を除いた一切の数式を排除して、兎に角分かり易くという観点で書かれたホーキング博士の名著。宇宙の理論を知るために必須となる量子物理学や相対性理論の知識がないと難しく読み進めるのに苦労するが、人間の"知ろうとする"努力と宇宙の壮大な神秘に、興奮を覚えずにはいられなかった。宇宙の成分はたったの 4% しか解明されていないとされるが、残りの 96% にはどんな神秘があるのだろう。ノーベル賞で話題のニュートリノも登場して、宇宙に対して一層興味が湧いた。
            読了日:10月10日 著者:スティーヴン・W.ホーキング
            南極点のピアピア動画 (ハヤカワ文庫JA)南極点のピアピア動画 (ハヤカワ文庫JA)感想
            題材自体はタイトルと表紙から想像できる通り、内容は期待を大きく上回るハードSF。理系オタクの純粋な好奇心と夢に満ちた物語はどれも明るく、「こんな未来があっても面白いかも」と思わせる快活なSFに仕上がっている。「まだ見ぬ景色を見たい、好きなことをしたい、面白いモノをつくりたい」というエンジニアの考え方にもワクワク(少々ご都合主義すぎるが…)。ネットのコンテンツやボーカロイドのような技術は否定的な見方があるのが現実。だからこそ、小説の中くらいはこんな明るい未来があってもいいと思う。
            読了日:10月4日 著者:野尻抱介

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            読書記録[2015.09]

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              水面下でバタバタしていた転職活動が落ち着き、精神的にも余裕が出てきた9月。
              以前と比べて読書ペースは遅いので、少しずつ戻していきたい。

              「県庁おもてなし課」「花鳥の夢」など、冊数は少ないながらも良質な読書ができたと思う。

              ★  ★  ★

              2015年9月の読書メーター
              読んだ本の数:6冊
              読んだページ数:2430ページ
              ナイス数:209ナイス

              県庁おもてなし課 (角川文庫)県庁おもてなし課 (角川文庫)感想
              県の観光を盛り上げようと発足したおもてなし課で、県庁職員が奮闘する物語。地方の観光と役所の在り方、新書のテーマとしてありそうな題材を大衆向けにすり替えてしまうところに、改めて有川浩という作家の手腕を感じる。逆境に負けない職員の熱意と、住民の協力、そして一人一人の郷土に対する想いに胸が熱くなり、そんな魅力溢れる高知に行ってみたくなる。便利な都会や外国に目を奪われてしまうけれど、地方には地方の良さがあるはず。自分の住む県にはどんな隠れた魅力があるだろうと、調べてみたくなった。
              読了日:9月22日 著者:有川浩
              天使と悪魔 (下) (角川文庫)天使と悪魔 (下) (角川文庫)感想
              読み終えて本を閉じて、まず美しいなと思った。対称性が見事なイルミナティが、古代ローマ建築が、そして宗教と科学を真っ向から描いた構成そのものが。科学と宗教は表裏一体でどちらが悪にもなりえるという意味で、まさに天使と悪魔の関係なのかもしれない。そこに共存の余地はあるのか、深く考えさせられるテーマになった。ラストの盛り上がりは絶妙でミステリとしても一級品ではあるが、読者の知的好奇心だけでなく旅心までを刺激する題材の選び方も見事。「天使と悪魔」でローマ巡りというのも面白そう。
              読了日:9月21日 著者:ダン・ブラウン
              浜村渚の計算ノート 6さつめ パピルスよ、永遠に (講談社文庫)浜村渚の計算ノート 6さつめ パピルスよ、永遠に (講談社文庫)感想
              数学を題材にした書籍は良く読む方なので、雑学的な部分も含めて相応の知識は持っていたつもりでいたけれど、知らないことはまだまだ沢山あるなーと痛感。ナポレオンと数学に関連があったことも全然知らなかったし、古代エジプトの数学については、学問としてではなく生活に根付いた考え方に親近感が湧いた。テロ組織・黒い三角定規との関係は相変わらず漸近的で進展がないけれど、シリーズが続いてくれるのは嬉しい。「数学的に取り乱す」キューティー・オイラーにも注目。
              読了日:9月16日 著者:青柳碧人
              虚像の道化師 (文春文庫)虚像の道化師 (文春文庫)感想
              ガリレオシリーズ第七弾。湯川先生はシリーズを重ねるごとに人間味が増して普通の人っぽくなっている反面、最初の頃の理屈っぽさが薄れてきているようなのが少し残念。短編だから仕方ない部分もあるけれど、科学的なトリックの部分ももう少し掘り下げて欲しかった。とはいえどれも傑作ぞろいだし、ドラマを見ていると映像のイメージが入ってくるので読み易い。タイトル「虚像」に込められた意味が分かる最終章が特に良かった。湯川先生の最後の一言が深い。
              読了日:9月15日 著者:東野圭吾
              地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減 (中公新書)地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減 (中公新書)感想
              「896の市町村が消滅する」として話題となった増田レポート。若年女性人口の減少率と出生率から算出された数値は、決して大袈裟なものではなく、衝撃的な事実として突き刺さる。女性の社会進出と少子化のトレードオフ、企業における働き方、経済事情など、問題は山積みで、考えれば考えるほど日本の未来に希望はないんじゃないかと思ってしまう。とはいえ悲観していても益にはならないし、現実を知ることで「これはまずいな」と感じることに意義があるはず。未来を選ぶのは私たちなのだから。
              読了日:9月12日 著者:増田寛也
              花鳥の夢 (文春文庫)花鳥の夢 (文春文庫)感想
              桃山時代の絵師として知られる狩野永徳。名門狩野派として絵の世界では天下一だった永徳の前に現れるのは、無名ながらも驚異的な画力を持つライバル・長谷川等伯。名門としての意地やプライド、等伯の絵を認めたくてもできない悔しさなど、才能人ゆえの苦悩というものは筆舌しがたいものがあったんだと思う。安部龍太郎「等伯」を読んだいて、永徳にはあまり良いイメージが無かったけれど、その見方が随分と変わった。永徳・等伯どちらとも、苦難を乗り越えながら筆を持ち続けた生き様に、畏敬の念を抱かずにはいられない。
              読了日:9月6日 著者:山本兼一

              読書メーター

              読書記録[2015.08]

              0
                色々とあり暫く本を読むことができかったけれど、ようやく復帰。
                忙しくてもコンスタントに読める人はすごいと思うし、そうなりたい。

                今夏何よりもハマったのは「がんばっていきまっしょい」。
                鈴木杏主演のドラマ(10年前…)がもう一回見たくて、DVD-BOXを買ってしまった。

                ★  ★  ★

                2015年8月の読書メーター
                読んだ本の数:7冊
                読んだページ数:2410ページ
                ナイス数:192ナイス

                リビジョン (ハヤカワ文庫JA)リビジョン (ハヤカワ文庫JA)感想
                前作がとにかく難解だったのでシリーズを読んでいけば理解できるのかなーと思ったけれど、補完するどころか分からないことがますます増えていく。作中にバタフライ効果が出てくるけれど、アトラクタは予想できない軌道を描きその波形はカオス的な振る舞いを見せるような、そんな印象。つまりはよく分からない(笑)。が、リライトのヤスヒコとの繋がりが見えてくるところはなかなか面白かった。理解が追いつけるかは分からないが、この流れをどう収束させるのかは気になるので最後まで読みたい。
                読了日:8月31日 著者:法条遥
                リライト (ハヤカワ文庫JA)リライト (ハヤカワ文庫JA)感想
                タイムリープを題材にした作品は数多くあれど、その中でも異彩を放っているのではないだろうか。序盤の爽やかな青春はある違和感によって徐々に崩壊、やがて不安に変化し、思考が追いつかないままの読者を最後に待ち受けるのは最悪の絶望感。時間軸や人物視点が目まぐるしく変化するのでとにかく混乱するが、分からなくても途中で投げ出す気にはなれず最後まで読み進めてしまう。「SF史上最悪のパラドックス」のキャッチコピーにも納得の傑作。シリーズ続編にも期待。
                読了日:8月22日 著者:法条遥
                色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年感想
                ある事件をきっかけに壊れてしまった5人の友情の真実を探るべく、田崎つくるは16年越しに旧友たちのもとを訪れる。世の中には知らない方が良い事実もあるし、知ることで不幸になることもあるけれど、知ろうとすることはきっと崇高で価値のある行為なのだと思う。エリの「個性はだれにでもある。表から見えやすい人と、見えにくい人がいるだけ。」という台詞が印象的。可視光線がごく限られた範囲の波長の電磁波でしかないのだから、つくるの個性はいわば"見えない光"といえるかもしれない。
                読了日:8月16日 著者:村上春樹
                光 (集英社文庫)光 (集英社文庫)感想
                一体どのあたりが「光」なんだろうと、疑問に持ちながらも最後までその兆しは見えない、重く苦しい物語。解釈は読者に委ねるというのであれば、物語の先にある三人の未来に少しでも光があって欲しいという痛切な願いなのかなと感じた。登場人物には誰一人として共感はできなかったけれど、唯一、信之には少しだけ同情してしまった。このあたりは読む人の性別によって感じ方が違うような気がする。
                読了日:8月11日 著者:三浦しをん
                光 (光文社文庫)光 (光文社文庫)感想
                「月と蟹」のような重く苦しい感じはなく、タイトルのイメージ通り全体的に明るいトーンで読み易い。何でもない日常を冒険に変えてしまう小学生ならではのキラキラとした日常と、後半の切迫した展開のコントラストが絶妙。人魚伝説、アンモナイトの化石、ワンダとダッシュ…、どの日常を切り取ってもわくわくして危なっかしくて、最後はほっとする。友達のためならどんな無茶もできた少年時代が懐かしいな。利一と同じように、いつも一緒に遊んでいた4人グループだった。悦子役はいなかったけど(笑)
                読了日:8月10日 著者:道尾秀介
                信長死すべし (角川文庫)信長死すべし (角川文庫)感想
                本能寺の変を舞台に描いた小説は数多くあれど、描かれることが少ない朝廷黒幕説を取り上げているところ、「利休をたずねよ」にも共通する多視点の群像劇で描いているところが特徴。本能寺の変の約一ヶ月前を起点にして、信長や光秀などのそれぞれの思惑を明らかにしながら進んでいく構成は、シンプルながらもスリリングで、終盤は史実を知っていても夢中になる。視点が変われば善も悪も逆転するし、分からないからこそあれこれ思索を巡らすことができるところに、歴史の面白さはあると思う。
                読了日:8月6日 著者:山本兼一
                がんばっていきまっしょい (幻冬舎文庫)がんばっていきまっしょい (幻冬舎文庫)感想
                主人公の悦子と女子ボート部をめぐる物語。将来への不安、挫折、友情、劣等感、さまざまな想いをボートにのせて、少女5人は青春時代という荒波を漕破していく。「イージー・オール」で悦子が挫折を乗り越えてボート部に復帰するシーン、卒業記念の出艇のときのコックスの「ありがとう」が印象的。センター試験が共通一次だった時代の話なのに全く違和感なく物語に入り込めるのは、青春の本質がいつの時代も変わらないからなのだと思う。長く読み継がれるべき青春小説の金字塔。
                読了日:8月2日 著者:敷村良子

                読書メーター

                読書記録[2015.03]

                0
                  最も印象深いのは「夜と霧」
                  強制収容所での経験を通して、生きるとは何かを問いかける。
                  時代を超えて読まれるべき名著とは、この本のことだろう。
                  「神様のカルテ」ではハルさんの愛読書として紹介されている。

                  ★  ★  ★

                  2015年3月の読書メーター
                  読んだ本の数:6冊
                  読んだページ数:1994ページ
                  ナイス数:238ナイス

                  さよなら妖精 (創元推理文庫)さよなら妖精 (創元推理文庫)感想
                  マーヤとの稀有な出会いがもたらす高校生四人の成長譚。古典部シリーズのような日常系の謎解きと思いきや、ユーゴスラビアの紛争という大きなスケールの話へ。心構えも前提知識もなかったので色々な意味で想定外だったけれど、良い意味で期待を裏切られたというか、面白い面白くないという尺度では測ることが出来ない感覚というか。とりわけ終章で突きつけられる現実は残酷で、読後感も心地の良いものではないが、それでも読んで良かったと思える。さよなら妖精、タイトルが秀逸。
                  読了日:3月30日 著者:米澤穂信
                  謎好き乙女と奪われた青春 (新潮文庫nex)謎好き乙女と奪われた青春 (新潮文庫nex)感想
                  表向きは恋人関係でありながら、日常の謎を追い求めて(半ば強制的に)青春するパートナーである、矢斗春一と早伊原樹里。キャラ設定に既視感はあったけれど、スクールカーストの裏にある生々しい事情とか、羨望とか妬みとか、"綺麗じゃない青春" としての要素に引き込まれた。主人公二人の掛け合いを、面白いと感じられるかどうかが、好みの分かれ目だと思う。三、四章まで良かった分、五章の構成が少々残念だったけど、全体としては読み易くて好印象な作品だった。
                  読了日:3月22日 著者:瀬川コウ
                  小説スパイラル 推理の絆〈3〉エリアス・ザウエルの人喰いピアノ (Comic novels)小説スパイラル 推理の絆〈3〉エリアス・ザウエルの人喰いピアノ (Comic novels)感想
                  「エリアス・ザウエルの人喰いピアノ」は古いグランドピアノに纏わる謎の真相を、ひよのパートと歩パートの二部構成で描く。地味なホワイダニットを地味に伏線張って〜という著者の控えめなコメントと裏腹に、丁寧な論理展開と落し所の巧さが際立っていて素晴らしい。原作とこっそりリンクしているのも嬉しく、理緒との病院での対決シーンを思い出して懐かしくなった。「青ひげは死んだ」「カニの香りの悪魔」も短編ながら良く出来ていて面白かった。
                  読了日:3月22日 著者:城平京
                  スリープ (ハルキ文庫)スリープ (ハルキ文庫)感想
                  コールドスリープの実験台にさせられた中学生リポーターが目を覚ましたのは、30年後の世界。近未来を描いたSFとしての要素と、ミステリとしての仕掛けが良くマッチしていて面白い。途中、夢オチかパラレルワールドかと拍子抜けしそうになったけれど、そんな単純ではなくまんまと騙された。乾さんは好みは分かれそうだが、行きすぎた科学に警鐘を鳴らすという意味でも評価されるべき作品だと思う。技術的に云々ではなく倫理的に許されるかどうかが問題で、もはや科学について無知ではいられない。
                  読了日:3月15日 著者:乾くるみ
                  骸の爪 (幻冬舎文庫)骸の爪 (幻冬舎文庫)感想
                  前作よりはホラー色は薄れるものの、「仏像」の持つ神秘的なイメージが独特な怖さを感じさせる。瑞祥房で起こる心霊現象と、仏師の失踪事件の裏に隠されていたのは、小さな思い違いや誤解の積み重ねで、単純に誰が一番悪いと言い切れる内容ではないからこそ、やりきれなさが残る。人の心が軽々しく論じることのできないように、そこから生まれる仏もまた、一口では語れない色々な"面"を持っているんだろう。仏像については無知だったけれど、とても興味深かった。
                  読了日:3月15日 著者:道尾秀介
                  夜と霧 新版夜と霧 新版感想
                  これほどの名著を、この年まで読まなかったことがまず悔やまれる。劣悪な労働環境と容赦のない暴力が被収容者の肉体と精神を蝕んでいく中で、人間の生と死を決定づけたものは何だったのか。経験者でしか語れないリアルな筆致に、人として生きる意味を考えさせられると同時に、根底にある精神の強さに驚かされる。「生きることからなにを期待するかではなく、生きることがわたしたちから何を期待しているかが問題なのだ」一般論では答えられない問いに、自分なりの答えを出して立ち向かっていかなければならない。
                  読了日:3月1日 著者:ヴィクトール・E・フランクル

                  読書メーター

                  読書記録[2015.02]

                  0
                    後半は歴史関連が多めだった2月。
                    山本兼一氏『修羅走る関ヶ原』、宮木あや子さんの2作品がよかった。

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                    2015年2月の読書メーター
                    読んだ本の数:7冊
                    読んだページ数:2631ページ
                    ナイス数:300ナイス

                    ガラシャ (新潮文庫)ガラシャ (新潮文庫)感想
                    『武家の妻として屋敷に留まり、戦場になくともこの世は戦か』 戦国随一の波乱の人生を送った女性、細川ガラシャ。父である明智光秀の謀反がきっかけで長い間幽閉され、解放されたのちも細川家との関係に苦しめられていく…そんな苦境を思えば、救いを求めてキリシタンに傾倒していくのも当然のように感じられる。男性ばかりが表舞台に立つ戦乱の世において、強かに生き抜く女性たちの姿が印象的。最後は定説とは異なるけれど、小説らしく希望を残す終わり方はよかった。
                    読了日:2月28日 著者:宮木あや子
                    花宵道中 (新潮文庫)花宵道中 (新潮文庫)感想
                    生きることは困難で、生き抜くことはもっと険しい― 江戸時代の遊女がどれだけ残酷な宿命を背負って生きてきたのか、想像するだけで苦しくなる。 どこまでも純粋な登場人物たちの心情、苦しい時代を生き抜いた女性としての強さ、救いも何もないような環境で姉妹のように助け合う関係が印象に残った。「思いを遂げられいまま死んでいった遊女たちの魂が、少しでも慰められることを願います」最後の一文に読者が共感することに、大きな意味があるように思う。
                    読了日:2月25日 著者:宮木あや子
                    関ヶ原銘々伝 天下分け目の戦いで馬鹿を見た人、笑った人 (ソフトバンク新書)関ヶ原銘々伝 天下分け目の戦いで馬鹿を見た人、笑った人 (ソフトバンク新書)感想
                    天下分け目の戦いは関ヶ原の地だけで行われたものでもなければ、1600年9月15日の一日がその全てでもない。東北の伊達政宗から九州の黒田如水までその範囲は全国に及び、武将の数だけ物語があるということを改めて知らされる。一人の武将に割く項が少ないので若干物足りない感じはしたけれど、山内勝豊や堀尾忠氏、鳥居元忠など、あまり知らなかったストーリーも多かったのでとても満足。第三章では「修羅走る関ヶ原」の場面が思い出されて、胸が熱くなった。
                    読了日:2月23日 著者:小松島六合
                    修羅走る 関ヶ原修羅走る 関ヶ原感想
                    なんだろう、この臨場感。最後まで義を貫かんとする者、戦の趨勢を見定め寝返る者、命を駆けて主君を守る者、様々な思いが修羅となり戦場を駆け巡る。大谷吉継が福島正則に送る「くれぐれも」の書状、「よき世に転生して今度勝て」と蒲生郷舎が倅に告げるシーンが胸に詰まった。読み終えた後、読者を包み込むのは血生臭い戦の臭いではなく、戦に臨んだすべての者たちの美しい死生観だ。著者の遺作というのが本当に悔やまれるが、名作を遺してくれたことに心より感謝したい。
                    読了日:2月15日 著者:山本兼一
                    水の柩 (講談社文庫)水の柩 (講談社文庫)感想
                    嘘をつき続けてきた祖母のカミングアウトと、敦子を苦しめるいじめの事実、二つの問題に立ち向かう逸夫の物語。全体的に暗いトーンで描かれる反面、ラストシーンは美しく、それまでの暗澹とした雰囲気を綺麗に拭い去ってくれる。蓑虫が暗喩するのは、見かけに騙されず中身を見ることの大切さと、自分を覆うものを捨てれば意外と簡単にやり直せるという二つだろうか。モチーフに込められたメッセージ性にはいつもながら巧いなと思う。そして読み終えた後「棺」と「柩」の違いを調べて、タイトルの深さを知る。
                    読了日:2月11日 著者:道尾秀介
                    プログラマが知るべき97のことプログラマが知るべき97のこと感想
                    技術本はあまり登録しないけれど、読み物として極めて良質だと思ったので登録。プロのプログラマ 81人による 97 + 10 のエッセイ集。「64.プロのプログラマとは」「18.学び続ける姿勢」「54.見えないものを見えるように」など、参考にしたい考え方、自分に不足している技術や知識など、気になるページをチェックしていったら、ページの殆どが付箋でいっぱいになってしまった…「リーダブルコード」と並ぶプログラマ必携の一冊だと思う。内容を忘れたころにまた読み返したい。
                    読了日:2月11日 著者:
                    その女アレックス (文春文庫)その女アレックス (文春文庫)感想
                    なるほど話題になるのも納得の面白さ。章を追うごとにがらりと変わっていくアレックスへの印象、終盤になってもさっぱり読めない展開… 訳者あとがきに「これまでとは違う読書体験をした感じ」というフレーズがあるが、本当にその通りだと思う。全体として凄惨としているので気持ちのよいものではないけれど、嫌悪感、憎悪、同情、色々な感情が渦を巻きながら迎える結末は、不思議と納得感があった。101ページのシーン含め挫折しそうな場面も多々あったが、最後まで読んでよかった。
                    読了日:2月8日 著者:ピエールルメートル

                    読書メーター

                    読書記録[2015.01]

                    0
                      残業と休出の2連コンボで、読書時間の確保に苦労した1月。

                      長谷川等伯の絵師としての人生を描いた『等伯』がすばらしかった。
                      「松林図」はぜひとも実物を見に行きたい。

                      ★  ★  ★

                      2015年1月の読書メーター
                      読んだ本の数:8冊
                      読んだページ数:2421ページ
                      ナイス数:272ナイス

                      等伯 〈下〉等伯 〈下〉感想
                      狩野派との対立の中、久蔵の死という最悪の結果をもたらしてしまい、悲しみに打ちひしがれる等伯。そんな苦境にあっても絵を描き続ける姿は、"死者を背負って生きる" という等伯の名に相応しく、辛さを乗り越えて描いた「松林図」には人生そのものが絵になって表現されているのではないかと強く感じさせる。「利休にたずねよ」でも感じたけれど、動乱の世を生き抜いた人にしか辿り着けない境地が、この時代の文化の根底にあるのではないだろうか。家康が涙を流した名画「松林図」は、実物をぜひともこの目で見てみたい。
                      読了日:1月31日 著者:安部龍太郎
                      等伯 〈上〉等伯 〈上〉感想
                      桃山時代の絵師として有名な長谷川等伯。数年前、美術館で「竜虎図屏風」を見て、その力強さと表現力に衝撃を受けたのを覚えているが、その人生がここまで波乱万丈なものだとは知らなかった。認められるまでに長い年月を要したり、成功するまでは苦労の連続だったりするのは、後世に名を残す画家の共通項だと思うが、等伯もその一人だったのだろう。秀吉や千利休、狩野永徳といった人物がどのように等伯の人生に影響を及ぼすのか、そして絵師としての信念は作品にどうやって表現されていくのか、下巻が楽しみ。
                      読了日:1月27日 著者:安部龍太郎
                      ギリシア神話 -神々と英雄に出会う (中公新書 (1798))ギリシア神話 -神々と英雄に出会う (中公新書 (1798))感想
                      星座や星占い、オリンピックの起源や単語の語源など、意識しなくとも身近なところにある「ギリシャ神話」の世界。神話の世界の死生観に着目した第三章では深く考えさせられ、五章では英雄たちの引き立て役ではない怪物の意味を学び、六章では夜空の星々が創る神話のストーリーに魅せられる。覚えきれないほど沢山の神様や英雄が出てくるので大変だけど、意外に人間臭い神様の素顔が垣間見えたりするところが面白い。関連する美術作品も多く紹介されており、視覚的にも楽しめるところも良かった。
                      読了日:1月25日 著者:西村賀子
                      夜明けのカノープス夜明けのカノープス感想
                      全天で二番目に明るい星でありながら、日本では見ることが難しいため認知されにくいカノープス。教師になる道を諦め契約社員として働く映子の日常は、他の冬の一等星の輝きに埋もれてしまっているカノープスのようでもある。父親との再会や星との出会いによって少しずつ変化していく彼女の視点と、それでも変わらない現実との差異がもどかしいけれど、微かな希望を残して幕を閉じる終わり方が心に残る。今は条件が悪くても、その輝きが誰かの目に届く日がきっとくる、そう願わずにはいられない。
                      読了日:1月19日 著者:穂高明
                      STAR EGG―星の玉子さま (文春文庫)STAR EGG―星の玉子さま (文春文庫)感想
                      小さな星々を巡って旅をする玉子さんと愛犬ジュペリ。「どうして、落ちてこないのでしょう」「孤独とはなんでしょうか」玉子さんが旅の中で抱く疑問は、ちょっぴり知的ななぞなぞや哲学的な問いかけなど様々だが、どれも立ち止って考えさせられる内容ばかり。森さんが描く挿絵も丁寧で可愛らしいし、巻末に一つ一つの問いかけに対する解答があるところも親切だ。森さんファンの人もそうでない人も、「星の王子さま」が好きな人も未読の人も、つまりはあらゆる人に勧めたいと思う魅力的な一冊。
                      読了日:1月16日 著者:森博嗣
                      ポアンカレ予想 (新潮文庫)ポアンカレ予想 (新潮文庫)感想
                      100万ドルの賞金が賭けられたミレニアム問題の一つとして有名なポアンカレ予想。難解ではあるが、ユークリッド幾何学や地球の形に関する議論といったポアンカレ時代以前の解説に大きく紙面が割かれており、読者に対する配慮を感じられる。凡人脳では十分理解できたとは言えないけれど、世紀や国境を越えて受け渡されていく数学のバトンと、宇宙の形が証明できるというロマン溢れる問題に、読んでいて激しく心を揺さぶられた。数学は人類の歴史とともにあり、人類とともに発展していくということを強く物語る作品。
                      読了日:1月16日 著者:ドナルオシア
                      この部屋で君と (新潮文庫)この部屋で君と (新潮文庫)感想
                      二人暮らしをテーマにしたアンソロジー。恋人同士、友人、会社の同僚などの様々なシチュエーションと、新鋭の作家群が描くバリエーションに富んだ作風が相乗して、とても読み応えのある一冊になっている。楽しいことばかりではないリアルな事情や、同居を経験したことがある人になら分かるであろう「あるある」も面白い。印象的なのは三上延さん「月の砂漠を」、初読みからなら飛鳥井千砂さん「隣の空も青い」がよかった。
                      読了日:1月12日 著者:朝井リョウ,越谷オサム,吉川トリコ,坂木司,似鳥鶏,徳永圭,飛鳥井千砂,三上延
                      蜩ノ記 (祥伝社文庫)蜩ノ記 (祥伝社文庫)感想
                      秋谷、庄三郎、郁太郎に源吉といった人物を通して、果たして自分は生きることに誇りを持っているだろうか、逆境や不利な状況にもめげず己の信念を貫けているだろうか、自問してしまうほどに彼らの生き様は素晴らしい。特に秋谷の、死の瞬間まで他人のためにあろうとする「生の賛歌」は心地よく胸に響いてくる。時代は移り変わっても普遍的なものは沢山あるだろうけど、その一つが人間の矜持なのではないだろうか。「日暮しのように来たる一日を懸命に生きる」という言葉が深い。一年のはじめに読めて良かった。
                      読了日:1月9日 著者:葉室麟

                      読書メーター

                      読書記録[2014.12]

                      0
                        未だかつて経験したことのない仕事の忙しさだったけれど、奮闘した12月。
                        神様のカルテ、利休にたずねよ、犬はどこだ、など「アタリ」も多い点も良かった。

                        2015年も良質の本との出会いがありますように。

                        ★  ★  ★

                        2014年12月の読書メーター
                        読んだ本の数:9冊
                        読んだページ数:3414ページ
                        ナイス数:315ナイス

                        業政駈ける (角川文庫)業政駈ける (角川文庫)感想
                        箕輪城主・長野業政。城としても武将としても有名ではないけれど、武田と北条という大きな勢力に挟まれながらも、その知略とリーダーシップを発揮して領地を守り抜く姿は名将そのもの。たとえ弱い立場であっても、大きな相手の理不尽には誇りをもって戦いを挑んでいく姿勢には感銘を受けるし、物語を通してそれを伝えようとする著者の思いには胸を打たれるものがある。長尾景虎や真田幸隆とった人物にも一層興味が湧いてきたので、「天地人」「真田三代」も読んでみたい。
                        読了日:12月31日 著者:火坂雅志
                        神様のカルテ2 (小学館文庫)神様のカルテ2 (小学館文庫)感想
                        患者を最優先に考え、異変があればどんな状況でも駆けつける。命を削り家族を犠牲にしてまで働かなければいけないという状況は美徳でも正義でもないし、看過できない問題だと思う。進藤先生と奥さんの話も、古狐先生を襲う病魔も、なんでそうなってしまうのだろうと悔しさが込み上げてくる。 そして「医療の話をしているのではない。人間の話をしているのだ」という栗原一止の言葉には重みが感じられる。全体的に重い内容だったけど、ハルさんの大好きな山に一緒に登る最後のシーンが好き。
                        読了日:12月31日 著者:夏川草介
                        黒猫の三角 (講談社文庫)黒猫の三角 (講談社文庫)感想
                        Vシリーズ第一弾。小鳥遊練無、香具山紫子、瀬在丸紅子といった名前負けしない超個性的な面々と、天才の影を匂わせる探偵・保呂草など登場人物がやっぱり魅力的。探偵兼便利屋とアルバイトという身軽な立ち位置を活かした謎解きも面白いし、ラスト数十ページで「え、まさか!」となるような予測できない展開も流石。S&Mシリーズと比べて理系分野に偏っていないのは少々物足りないけれど、その分読み易いし別の面白さもあると思う。全10作からなるVシリーズ、じっくり読み進めていきたい。
                        読了日:12月26日 著者:森博嗣
                        動物園の鳥 (創元推理文庫)動物園の鳥 (創元推理文庫)感想
                        今までにないボリュームの事件と、これまでの登場人物が勢ぞろいする豪華なキャスティング、そして坂木と鳥井に隠された過去など、完結編を語るに相応しい一冊。『檻』が自分自身の価値観や倫理観であるとするなら、たまには外の世界に目を向けること、理解しようと努力することが大事だという、最後のメッセージに考えさせられる。最初は二人の関係が理解できないところもあったけれど、いつの間にか応援していきたいと思う気持ちが大きくなっていた。最後まで読んで良かった。
                        読了日:12月23日 著者:坂木司
                        犬はどこだ (創元推理文庫)犬はどこだ (創元推理文庫)感想
                        開業間もない調査事務所の元に舞い込んできた「失踪人探し」と「古文書の由来調査」という二つの依頼。新人探偵コンビが挑むそれぞれの事件が一つの事件に収束されていくという、シンプルながらも高度な構成に惹き付けられる。事件の真相は関わる人全てを幸せにするものではなく、もやもやとするけれど、それによって浮き彫りになる人間性が本当に面白い。右上にこっそり "1" とあるので続編を楽しみに待ちたい。『弱者の砦』に劣らない秀逸な副題を期待しながら。
                        読了日:12月19日 著者:米澤穂信
                        書店ガール (PHP文芸文庫)書店ガール (PHP文芸文庫)感想
                        女性同士の壮絶な争いにのっけから面食らったり、悪役ばかりの男性陣に感情移入できないところも正直あった。それでも、主役二人の本に対する想いや書店で働く人たちの熱意に心を打たれるし、書店の裏事情を知ることができるのは面白かった。「静岡書店大賞」の受賞作だけど、書店側のこうした盛り上げが無かったら手に取ることはなかったかもしれない。書店へ足を運ぶ習慣は続けていきたいし、書店で働く人たちを応援していきたいなと思う。
                        読了日:12月15日 著者:碧野圭
                        利休にたずねよ (PHP文芸文庫)利休にたずねよ (PHP文芸文庫)感想
                        桃山時代の茶人として有名な、千利休を題材にした物語。切腹に至るまでの過程や、美意識の裏に隠された素顔が徐々に明らかになっていく様は、読み応えがあり長さを感じさせない。茶道はまったくの無知だけど、茶の湯の静謐な世界観や時代特有の文化を垣間見ることができる、とても良い作品だと思う。古田織部しかり、有名になるほど権力者に警戒されてしまうのだから、茶人にとって生きづらい時代だったのもしれない。
                        読了日:12月13日 著者:山本兼一
                        神様のカルテ (小学館文庫)神様のカルテ (小学館文庫)感想
                        雄大な北アルプスの山々と澄んだ空気、国宝として名高い松本城…個人的に思い入れの強い地、松本が舞台ということで、ずっと読みたかったシリーズ。病院や医療をテーマにしているけれど、病院内で完結しないところが良い。奥さんのハルさん、現場で働く仲間や患者さん、御嶽荘の住人、たくさんの人の「優しさ」が満ち溢れていて、純粋に感動できる。特に学士殿と安曇さんのエピソードは感涙。イメージしづらい医療現場の内情について考えさせられたりと、物語を通じて得られるものは多い。
                        読了日:12月7日 著者:夏川草介
                        城を噛ませた男 (光文社時代小説文庫)城を噛ませた男 (光文社時代小説文庫)感想
                        著者の作品は「天地雷動」に続いて二作目だけど、取り上げる題材や描く視点が本当に巧い。秀吉の小田原攻めや関ヶ原の合戦といった有名どころの出来事を、真正面からではなく、裏で動いた知られざる人々の視点や地域特有の産業といった特異なギミックを取り入れながら痛快に描き切る。この時代に捕鯨があった事実が驚きの「鯨の来る城」板部岡江雪斎にスポットを当てた「江雪左文字」が特に面白かった。読めば読むほど知らないことが出てくるというのも、歴史小説の魅力だなと思う。
                        読了日:12月3日 著者:伊東潤

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